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●完成していない家
厳密に言うとこの住宅は将来予定している増築工事を持って最終的な竣工を迎える。
しかしながら今日現在はライフスタイル的にも予算的にも将来拡張されるべき空間をクライアントは必要としていないのである。
時代的にも生活に及ぼす外的条件がフロートしている時代である。そんな時代とクライアントのライフスタイルを未来予見も含めて段階を追いながら組み立てていくフローを元に(良い意味で)即物的に表現したのがこの住宅の現在である。
敷地北側は極力狭く、南側空地を広く確保するのがセオリーなのだがそこには将来の個室群が並ぶ事を想定し、その分だけ広く空けられ、西側の通路は増築工事の搬入路となる。
時代と共に色が変わっていく(老朽が進む)であろうガルバリウム外壁の色味が将来の増築時に「取って付けた感」をもたらさぬ様、搬入路のゲートとしてこの段階で立ち上がっているのも将来の増築ヴィジョンに基づいているスパンの長いトリックになっている。
内部はクライアントの要望であった通信のサーバールーム兼倉庫を軸にした極めてシンプルな空間構成になっている。
サーバールームは吹き抜けに浮かんでおり、本来隅に追いやられる用途でありながら、生活の邪魔にもならずインテリアの艶の様なものを創りだすことになった。
小さな住宅だけに各部屋の分節にはかなり気を使った。
特にクライアントの寝室とワークスペース、そしてゲストルームへのつながりを門型の壁のみで行ったのは屋根勾配が現れた天井形状とあいまって非常に心地良い空間を創り出した。
カラーリングはクライアントの大好きなヴィヴィッドな黄緑を軸に据えてその刺激を中和しつつもむしろどんどん色を加えていくディレクションを行っている。リビングも方位によって色味を変えつつ視線の方向を定めない事で広さを演出している。
命名はもちろんカラーリングの軸となった黄緑とクライアントの住まいに対する野望による。
増築の際には新たな価値観がもたらされ、現在の姿も変容していくことになる。
変化していくライフスタイルにおいてこれは至極当然である事に改めて気付かされたのは貴重な経験であった。
南国では神の使いだったりもするカメレオンと言う名を冠しクライアントのライフスタイルと共に変化していく家の姿を楽しみに見て行きたい。
準備中